夏果

日常の思いと創作など

あやまりすぎる彼女の罪 #1

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

私の友人は高校の頃からよく「ごめんなさい」という子でした。

しかし、彼女はそんなに謝るほど悪いことはしていませんでした。

 

20歳になった年の春でした。

彼女に彼氏ができました。

彼女は相変わらず気を遣ってばかりでした。

それでも少しずつ心を開こうとしていましたし、お互いがお互いのことを好いている様子でした。

 

そんな気を遣ってばかりで、彼女はしんどくならないのでしょうか。

嫌われたくなくて気を遣っているなら逆効果なほどでした。

 

私も彼女も、彼女の彼氏も、同じ大学に通っていました。

私と彼女が仲が良いことから3人で会うこともしばしばありました。

 

同じ年の11月でした。

彼女の彼氏が私に好意を寄せているかもしれないと思うようになりました。

彼女の彼氏のことはこれ以降Yと呼ぶことにします。

 

私は彼女らの関係についてあまり干渉しませんでした。

友人ではあるものの、似た者同士ではありませんでした。

 

謝るということに意味がないとすら思っていました。

だって、本当に許せないとき、怒っているとき、謝られたって許せないでしょう?

そして、失敗はともかく、相手を傷つけようと思って取る行動なんてそうありません。

少なくとも私は他人を傷つけようと思うほどエネルギーに溢れた人ではありませんでした。

 

Yに彼女のことで相談があると言われ、2人でお茶をすることになりました。

Yは彼女がYに何も要求しないことから、愛を感じられなくなっていると言っていました。

彼女は気を遣ってしてほしいことを要求したり、嫌なことを嫌ということができないのでしょう。

 

私はYに好意がありませんでした。

私は一日の終わりにYの言っていたことを彼女にLINEで伝えました。

2人でお茶したことも。

 

彼女はやはり「ごめんね」と言いました。

 

彼女やYとは2か月に一度会う程度の程よい距離を保っていましたが、私たちが大学3年になってからは疎遠になってしまいました。

 

5月のある日の夕方でした。

街で彼女を見かけました。

彼女は知らない男性と腕を組んでいました。

彼女の顔は笑顔で満ちていました。

立ち去ろうとすしたとき、後ろから彼女が「まだ帰りたくない」と言っているのが聞こえました。

 

Yはずっと私に対して微妙な好意を抱き続けているようで、2か月に一度程度の程よい間隔でLINEが来ていました。

暇なときに返信していたのですが、ふと彼女と最近どうかと聞いてみました。

するとYは「良い感じに続いてるよ」と答えました。

 

そのころ、私によくしてくれていた男性の先輩に彼女が出来たのもあり、私のもともと少ない人との関わりは、さらに少なくなっていました。

Yはそれなりにイケメンで、それなりに優しく、それなりに話があいました。

 

彼女とも全く会話しないわけではありませんでした。

彼女にYのことを聞くと「良い感じに続いてるよ」と答えました。

彼女は私の前では気を遣う人間のままでした。

 

私は他人が嫌がることを進んでする人ではありません。

 

私はYが嫌いではありませんでした。

いや、そのころには少し好意がありました。

 

そして、本音を言うと私は彼女が謝るのが嫌いでした。

 

私がYと浮気をしたら彼女は謝るのかな。

あんなにも謝る彼女は、何も言わずに他の男と遊んでいる。

 

エネルギーの無い私ですが、退屈していたのと好奇心に駆られてYにLINEを送っていました。

 

※この物語はフィクションです。

つづくかもしれない

 

2023年9月26日 3時48分